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最新の導入事例や取り組みをご紹介します。

立体投影方式の選択

2007.10.19

CNET Japanに立体映画館の機器についてわりと詳細な記事が出ていました(こちらこちら)。REAL DとDolby、それぞれプロジェクタ1台の高フレームレート再生のフィルタホイールによる分離方式で、前者が偏光立体、後者がInfitec立体(BARCOのActiveInfitecのようなもの)ですね。

立体投影方式について簡単にまとめると、

偏光立体視

+メガネを渡しきりにできるほどに安価
-シルバースクリーンが必要
-曲面スクリーンには不向き
-クロストーク(像が2重に見える)、特に頭を傾けたとき
-プロジェクター2台、もしくは高リフレッシュレートプロジェクタ+フィルタホイール

Infitec立体視

+通常スクリーンや曲面スクリーンで利用可能
+頭を傾けてもクロストークが発生しない
-フィルター、メガネが高価
-偏光式に比べても光量が落ちる
-プロジェクター2台、もしくは高リフレッシュレートプロジェクタ+フィルタホイール

シャッター式(時分割)立体視

+通常スクリーンや曲面スクリーンで利用可能
+頭を傾けてもクロストークが発生しない
-メガネが故障しやすい
-有線や無線で同期信号を送る必要がある
-複数画面の投影には信号同期が必要
-高リフレッシュレートプロジェクタ必須

などが比較項目になります。

新しく平面立体シアターを作るというのであればコストやメンテナンス性から文句なく偏光立体を勧めるのですが、一方で立体ドームシアターのような曲面スクリーン環境ではInfitecが有力な候補です。シャッター式は、メガネのメンテナンスが大変なのと、どうしても高リフレッシュレートのプロジェクターの利用が必須になるので、通常プロジェクターが安くなっている昨今ではたいてい選択肢から外れます。

この他に、ユニバースの出張公演など立体投影を可搬機材で行うという視点で考えることもあります。一般的に、相手先に大きなシルバースクリーンが既設であることはまず無いですから、偏光立体視だとスクリーンを持ち込む必要があります。しかしこれまでの経験上、普通に配送してくれるのは150インチ程度のスクリーンが限度です。これだと想定観客数はせいぜい50人くらい。ホールや体育館の大スクリーンで上映してくれとなると、やはりスクリーン材質を選ばない(=持ち運ばずに済む)Infitecが便利です。

とにかく、Infitecは明るいプロジェクターが用意できてメガネが安価になればベストな方法なんですがね…。Dolbyのメガネ一個$50も高いと言われていますが(まぁ高いですが)、Dolbyのような大量生産ルート外でいまだに一個数万で買っている身からすると破格に安いと感じてしまいます。

映画産業が本腰入れて立体投影の乗り込むことで、価格の面で良い波及効果が出ることを期待しています。